白い斑点(はんてん)ができる病気「尋常性白斑」ってなに?


白い斑点(はんてん)ができる病気「尋常性白斑」ってなに?

みなさんは、肌に白いはんてんのようなものができている人を見たことがありますか?それは「尋常性白斑(じんじょうせいはくはん)」という病気かもしれません。


この病気は、皮ふの色がぬけて白くなるもので、かゆみや痛みはほとんどありません。でも、見た目の変化があるため、気にする人も多く、心の負担になることがあります。

今回は、この尋常性白斑について、どうして起こるのか、どんな治療があるのか、そして治るのかどうかを、わかりやすく説明します。



どうして白くなるの?

私たちの肌の色は、「メラニン」という色素によって決まります。このメラニンを作っているのが「メラノサイト」という細胞です。尋常性白斑では、このメラノサイトが何らかの原因でこわれてしまい、メラニンが作られなくなります。すると、その部分の肌が白くなってしまうのです。

原因はまだはっきりとはわかっていませんが、いくつかの説があります:

  • 免疫のトラブル:体の免疫がまちがって自分のメラノサイトを攻撃してしまうことがあります。
  • ストレスや神経の影響:強いストレスや神経の働きが関係しているかもしれません。
  • 体の中のサビ(酸化ストレス):体の中で細胞が傷つきやすくなる状態が関係しているという説もあります。
  • 遺伝(家族の体質):家族に同じ病気の人がいると、なりやすいことがあります。

どんなところにできるの?

白斑は、顔、手、腕、足など、体のいろいろな場所にできます。とくに、日光がよく当たる場所にできやすいです。形や大きさは人によってちがい、少しだけの人もいれば、広い範囲に広がる人もいます。

どうやって治すの?

尋常性白斑にはいくつかの治療法があります。完全に治るとは限りませんが、白くなった部分に色を戻すことができる場合もあります。

1. お薬をぬる治療

ステロイドのぬり薬:いちばんよく使われる治療

🔹 おすすめ度:A(かぎられた部分)〜B(広い範囲)

ステロイドのぬり薬は、白斑の治療でいちばんよく使われています。とくに、白い部分が体の10〜20%くらいまでの人には、最初に使う薬としておすすめされています。

研究では、強さが「クラス2」や「クラス3」と呼ばれるステロイドを使うと、半分以上の人で肌の色が75%以上もどることがわかっています。

  • 小学生くらいの子どもには、弱めの「クラス4」の薬を1日1回、4か月くらい使うのがよいとされています。
  • 中学生以上の人には、少し強めの「クラス2」や「クラス3」を4〜6か月使うことがすすめられています。

ただし、長く使いすぎると皮ふがうすくなったり、赤くなったりすることがあるので、注意が必要です。2か月使っても効果がないときは、別の治療に切りかえることもあります。

白斑が体の広い範囲にある人には、ステロイドだけではあまり効果が出にくく、光を使った治療(ナローバンドUVBなど)がよく使われます。


ビタミンD₃のぬり薬:単独では弱め、光といっしょに使うと◎

🔹 おすすめ度:C2(ぬり薬だけ)〜C1(光といっしょに)

ビタミンD₃のぬり薬も、白斑の治療に使われることがあります。日本では保険がきかないけれど、90%くらいの病院で使われています。

代表的な薬には「カルシポトリオール」や「マキサカルシトール」があります。ただし、カルシポトリオールは顔には使えません。

この薬だけでは効果が弱いので、「PUVA療法」や「ナローバンドUVB療法」といった光の治療といっしょに使うと、よりよい結果が出ることがあります。

ただし、研究の数が少なく、はっきりした答えはまだ出ていないので、使うときは医師とよく相談することが大切です。

タクロリムス軟膏:顔や子どもにも使いやすい薬

🔹 おすすめ度:B

タクロリムス軟膏は、免疫の働きを調整するぬり薬です。2000年ごろから白斑の治療に使われるようになり、日本では70%くらいの病院で使われています。

この薬は、顔や子どもにも使いやすく、副作用が少ないのが特徴です。

  • 1日2回ぬると、より効果が高いとされています。
  • ぬったあとにラップなどでおおう「密封法」を使うと、さらに効果がアップすることがあります。

また、紫外線を使った治療といっしょに使うと、よりよい結果が出ることもあります。ただし、長く使ったときの安全性や、リスクなどについては、まだ研究が足りていないので、これからの調査が必要です。


2. 光をあてる治療

  • ナローバンドUVB(紫外線)療法:特別な紫外線を週に数回あてることで、メラノサイトを元気にして色を戻す方法です。
  • エキシマライト:小さい範囲に強い光をあてる方法で、顔や手などに使われます。

この光の治療は、病院で受けることができ、時間はかかりますが効果がある人も多いです。

3. 皮ふをうつす治療(移植)

白斑が長い間変わらず、広がっていない場合には、元気な皮ふを白斑の部分にうつす治療もあります。これには手術が必要で、専門の病院で行われます。

4. 心のケアも大切

見た目の変化が気になって、学校や友だちとの関係に悩む人もいます。そんなときは、家族や先生、カウンセラーに相談することも大切です。病気のことを知ってもらうことで、まわりの人の理解も深まります。

治るの?どれくらい時間がかかるの?

治療の効果は人によってちがいます。顔や首などは治りやすいですが、手や足の先は治りにくいことがあります。治療を始めてから、色が戻るまでに数か月〜1年くらいかかることもあります。

完全に元の肌の色に戻るとは限りませんが、早めに治療を始めることで、広がるのを防いだり、色を少しずつ戻したりすることができます。

さいごに

尋常性白斑は、見た目が変わる病気ですが、痛みはなく、まわりの人が正しく理解することがとても大切です。今では、いろいろな治療法があり、少しずつ色を戻すこともできます。

もし自分や家族、友だちに白斑がある人がいたら、「病気なんだ」と知って、やさしく接してあげてください。そして、気になることがあれば、皮ふ科の先生に相談してみましょう。


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